入学→卒業までの雑駁記録 2

放送大学1年目 2015年4月〜

 


仕事が終われば自由の身だった毎日に、突如勉強が出現し、最初は時間管理に大変苦しんだ。

テレビやラジオは週一ペースでオンエアされていくが、キャンパスサイトから授業は好きな時間に見られるので、自分がやろうとしないと本当にやらない。

徐々に勉強が遅れ始め、ゴールデンウィークで挽回しようとし、結局できないまま連休の終わりを迎える。毎年春の放送大学生の風物詩なのではなかろうか。

 

 

 


いちど遅れ始めるとズルズルいってしまい、やがて自分がどれぐらい遅れているのか分からなくなるので、学期初めにカレンダーなどに学習計画を書き込んでおくと良い。

 


今も昔もだが、家に帰ると一切勉強ができないタイプなので、仕事が終わってから図書館や公民館などに足を運び、毎日1時間ちょっと勉強する、という習慣を生活リズムに組み込んでいった。

 


またこの頃はノートを作っていた。高校までそれが当たり前だったので踏襲したのだが、後期以降はやめてしまった。やめた理由としては、案外教科書まる読みの授業が多かったので、さしてノートをとる必要がなかったこと、教科書に書いてない話は余白にメモをすれば事足りたこと。ただこの辺は好き好きかと。


なお、日々の勉強法は過去にツイートしたことがあるので、本記事の最後に引用しました。参考にどうぞ。

 

2015年度後期

大学の勉強が大変楽しく、やる気に満ち溢れた私は、果敢にも記述科目にチャレンジをした。

放送大学の単位試験は、マーク色、記述式、マーク記述併用式の3種類に分かれている(多分)。

試験前になると試験の時間割一覧が送られてきてそれで確定するのだが、入学1年目の人はまだ手元にないはずなので、WAKABAの過去問を見て自分の科目、あるいはこれから取りたい科目がどうなのか確認しておくとよい。

 


で、ざっくり言えば、難易度はマーク<記述。

難易度=対策にかかる時間、と言い換えてもいいかもしれない。

 

 

記述式は、試験の時にお題が発表され、制限時間内50分以内に小論文を書き上げなければならない。

通信指導問題や過去問から出題の傾向を予想し、あらかじめ自分なりに解答例を作成しておく。放送大学の記述問題は、おそらくここまでやって試験に臨む事が想定された1台になっている気がする、

(コロナによる自宅受験だともちろん勝手が違うかと思います)

(以後、いまはコロナで勝手が違うであろう点には、注コロナ、と注釈します)

 


POINT

●家で勉強できないタイプの人は、家以外で勉強する習慣をつくる工夫が必要。

●ノートを取る事は必須ではない。

●試験が記述の場合は、マーク式以上に対策が必要。自分の科目の試験形態を確認しておきましょう。

 

 

入学→卒業までの雑駁記録 1

新学期が始まる。ので、

これから放送大学を始める人と、そして今もやっている人のため(あとちょっとした自分語りもかねて)6年間の放送大学生活を簡単にふり返りたいと思う。基本は時系列で進めつつ、ところどころ学習のコツとかを織り交ぜながら書いていきたい。

私は全科履修生で、かつ仕事をしながらの勉強でした。よって、記述の視点もそういった内容に近くなっていくことをご了承ください。

あと、後半は勉強の話より大学院に向けた話が多くなってきます。こちらも予めご了承を。

 


入学を決めた理由

既に仕事はしていたものの大学には行っておらず、ちゃんと勉強してみたかったなぁという思いがずっとあった。

社会人になって数年経ち、仕事も少し落ち着いてきたので、プライベートの時間をどうにか有効活用できないかと思い、通信大学への入学を決めた。

通信大学にもいろいろあるが、放送大学を選んだ理由」は結構あいまい。テレビで見るから知っていたと言うのと、見てみればどの授業も割とガチでやっていること、客員教授にしっかりした大学の先生が多かった、といったところか。

実を言うと、入学後、近所の某有名私立大学にも通信制があることを知り、一時入学し直そうかと思ったほど大変後悔した。

 

 

☝︎のツイートも立地の問題にすり替えようと努めているが、せっかく大学に入る以上、ある程度の「ブランド性」を欲する気持ちが、やっぱり強かったのだと思う。放送大学の入学を検討している人も、きっと知名度の微妙性はネックの1つかと思う。

でもそっちの大学(某有名私立)だと、テレビ授業のような放送教材が少ないし、取得しなければいけない科目も文系、理系、外国語と幅広い。一方、放送大学は必修の制限が少なく、外国語の必要単位もたったの2。自分の好きな科目だけ取りたい派の私には、やはり放送大学が向いていたと思う。(幅広く学ぶことも、様々利点があることは承知しています)

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画像出典:https://www.ouj.ac.jp/hp/purpose/gakusi.html

 

とかく、語学嫌いの私は大変に甘やかしてもらった。

(大学院に行く人間がそんなんでいいのかという質問は締め切りました。)

あと、単位試験も放送大学の方がきっと楽。

そして当たり前のことですが、社会に出てしまえば学歴なんてのは本当に関係がないことです。


入学が決まってから、勉強が始まるまで

入学者向け相談会があり、とりあえずそこでいろいろ話を聞いてもらった。

卒業生の方曰く、フルタイムで仕事をしている方は、①多くの科目を取りすぎないこと、②初めから難しい科目に挑戦しないこと。

この2つは教えてもらえて本当によかった。入学するまでは、何年で卒業するかなんて見当がついていないので、とりあえず4年かな、なんて考えて科目を取っていたら早々に破綻していたはず。この相談会のおかげで、毎期4〜5科目位とっていけば、6年で卒業という計画が立った。

 

POINT

放送大学の卒業要件では、外国語の必修が少ない

●多くの科目を取りすぎない(フルタイムで仕事をしているなら、4〜5位にしておく)

●初めから難しい科目に挑戦しない(個人的には、平均点60代は難しい、80代は簡単ってイメージ)

 


続く

感想『現代の危機と哲学』

6年間に渡る大学生活のトリを飾った科目。

 


もう哲学はこりごりと思っているが、どうしてもこの科目だけは取りたかった。なぜならニーチェをやってないから。

 


古代ギリシア哲学から、デカルトに始まる近代哲学、ドイツ観念論、イギリス経験論、フランス哲学、実存哲学、現象学……とこんな回り道をしてきたのも、ちゃんと基礎を固めた上でニーチェを勉強したかったからなのであった。

 

神の死についての解釈は、かなり森教授流になっている気がしなくもない。

本当は超人思想や永劫回帰とかもがっつりやりたかったけど、このテキストでの比重はやや軽め。まああとは自習的に学ぶしかあるまい。


ニーチェの後は、ハイデガーハンナ・アーレントがこの科目のメインです。

ハイデガーは他で勉強する機会があったので「存在」と「時間」って単語を見るだけでウッ、頭が……って感じなんですが、

何章も費やして吟味されるテキストが、まさかの学長就任演説という、これまでの哲学の教科書でこんなのあったのでしょうか。

ナチズムへの加担と、アーレント編につなぐと言う側面で、この教材向きだったということか。

 


ハンナ・アーレントは恥ずかしながら知らない人でした。(一瞬フロイトの娘かと)

労働・制作・行為を明確に区別する理屈は、個人的にはあまり賛同できなかったのですが、古来哲学の重要なキーワードである人間の「可死性」の対しての、「出生性」という概念は最近ぼんやり考えていたこととマッチして、非常に私好みでした。

 


世界大戦、無差別テロ、原発事故等等、

(そして教材には遅れて起きた昨今の感染症ももちろん含めて)

現代には危機が跋扈しており、人類にこれだけ「世界はいつか終わる」というセカオワ思想が蔓延しているのに、なかなかどうして世界は終わらない。何故か?

そこに「出生性」があると、アーレント(森教授)は答える。興味のある方は、ぜひ受講してみては。

 


……と、いろいろ楽しんで取り組んだ本科目だが、自宅受験だと思うと結局試験対策はせず。

2〜3日かけて丁寧に教科書を読み解きながらの受験となりました。

もともと、持込禁止だったような。それだと結構キツかったかかもな。。

感想『産業・組織心理学』

社会心理学、キャリアデザイン、組織経営マネジメント、メンタルヘルスマーケティング

この辺をがっちゃんこした科目。

内容は面白いが、種類の豊富さゆえにやや浅いので、上記に挙げた専門科目を取った人には既知であろう内容も多々。

 


放送大学では数少ないキャリアを取り扱う科目。

キャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントに興味がある人はぜひ取ってみると良いのではないでしょうか。

 


聞き手の二宮さんの受け答えがいつも秀逸。会社で人事やってたアナウンサーとか、経歴カッコよすぎないですか?

 


採用試験は、構造化面接の方が信頼性が高くなるのに対して、非構造化面接の方が受験者にとっては望まれるんだそうで、分かるわ〜。

私も大学院受験の時、通りいっぺんの事しか聞いてもらてなくて、もっと俺固有の情報を引き出してくれよ!って強く思った。(うまくアピールしろ)。

でもこれは理論武装して自信があったからこそで、自信のない人にとっては、決まりきったことだけ聞いてくれたほうが助かるような気も。

 


あと人事評価の話で、能力の低い部下にそのまま低い評価を与えるとモチベーションを損ねるので、上司はあえて平均的な評価を下しがちと書いてあって、これも思い当たる事例がありすぎる。

 


試験は、自宅受験が決まっていたので、すみません、対策はしてません。

しかし放送大学は、自宅受験だからといって問題が難しくなると言うことが全く起こらないな……

感想『教育の行政・政治・経営』

文科省教育委員会の仕組みとか、学校の制度・人員配置に係ること等々……

お子さんが学校に通ったりしてる人には興味深いだろうけど、

社会に出たことない学生が学んでも???なのではなかろうか。

首長と教育長と教育委員の権限の違いとか、実感わかないだろうなあ。 

 


毎度毎度、聞き手の森山さんの疑問点が鋭い。

さすが認定NPO

そうか、そういう視点で疑問を持たなければいけないんだ……って情けなくなる。

 


第1回はエビデンスの話をしつつ、放送では各講師の自説が展開されたり、

どっかの回のインタビューで登場する校長先生なんか「我が校の○○な取組みで生徒の授業関心も高まっているようです。数字的な評価はできていませんが、効果はあると思います」とか言ってたりして、この科目自体もエビデンスという言葉にどう向き合っているのか、アンバランスな印象でした。

 


エビデンス重視、に始まり、価値自由なエビデンスなど存在しない、に終わっていく。

このアポリア感。

きわめて教育学である。

 


アポリア」って言葉がぽんと浮かんだので思ったけど、

現代における哲学に一番近しい学問って教育学な気がしてきた。

 


テストの難易度は、標準的だと思いました。

ただ、上述のとおり、地域から見る学校というものを知らないと、結構つらい勉強になりそう。

ぼくは対策を怠ったので単位取れているかびびってます。

感想『知覚・認知心理学』

主任講師は石口彰先生。

声優ではありません。

 


生理学の勉強が嫌すぎてずっと逃げてきた認知心理学

脳や神経の構造あたりが辛くてしょうがない。前頭葉とか側頭葉とか、もうホント勘弁して。

後半は認知系の話なので、まあ、なんとか。

『錯覚の科学』を専門的にした感じですかね。

 


それにしても入学初期は、

「心理学ではこれを○○効果と呼びます」とか習うと、うおおお心理学!って感じで興奮してたけど、

最近は、いちいち些末なことに呼び名つけるなよ、さっきのとなにが違うんだよ……って感じです。

「気分一致効果」と「感情状態依存」で点を落とす学生が年間どれほどいることか。

 


通信指導、単位テストともに、問題が難しめ。

それこそ、上記でいったような○○効果は、どこから突かれるか分かりません。

(ぼくはマガーク効果で失点しました)

対策はとにかくテキスト読み直すことくらいしか思いつきません。

感想『教育社会学概論』

理路整然としていてわかりやすい授業。

さすが岩永先生。いや、副学長。

ただ、15章だけやたら筆に力が入っているというか、これマジで同一人物? という感じなのだが、これが岩永先生の本気なのだろうか。難解です。

 


第6章が個人的にはおもしろかった。

「頑張れば何にだってなれる!やればできるよ!」という熱い教育と、

「個性を大切に。社会で生きる力をつけましょう」という冷徹な教育の矛盾に、戸惑いを覚える人は多いと思いますが、

それをウォーミングアップ(励起)とクーリングアウト(冷却)の概念から見れば、ああなるほどな、と思えてくる。さすがにこの歳になるとね。

初等教育の時期を「高い評価を与え、励まし、場合によってはおだてて将来への期待水準を高める」と書く切れ味の良さも好きです。さすが教育社会学

 


テストは○×式。

わりと優しめ。

過去問を解いただけで、テスト用の対策は無しで臨みました。

たぶん単位は取れてる。A○かは知らん。