感想『生涯学習を考える』

オンライン授業に初挑戦。

①全15回
②授業登録するとキャンパスネットワーク→オンライン授業から専用ページに入れる
③そこからは普通の授業と同じ要領で、各回の映像を見て学習するという感じ
④テキストは送付されない。
⑤その代わり「講義ノート」なるものが各回ダウンロードできて、これが教科書のような感じ。(あまり使わなかったけど)
⑥通信指導はなし
⑦単位認定試験もなし
⑧その代わり各回「確認テスト」と「まとめテスト」というものがあり、これが通信指導のような感じ。
⑨まとめテストは評価に反映される。
⑩1・4・7・15回にはレポート提出もある。これも評価に反映される。
⑪普通の放送授業よりスタートするのが一ヶ月ほど遅い癖して、テスト提出の締め切りは早いという。しかもレポートの締め切りは1/10!!
⑫つまり、ほかの授業より実質2ヶ月ほど短い期間で履修し切らなければならない。岩永先生?^^
⑬回ごとに授業の長さが違う。最短で45分。最長で……なんと80分。岩崎先生?^^
⑭そのうえ早送りはできない。

ひたすら⑪〜⑭がつらかった……。
とにかく時間がないから移動中の電車で授業見たり、年末年始もレポート仕上げてた印象が強い。
そのぶん、単位認定試験がないので試験対策しなくて済むのは逆に助けられた。

なお、①〜⑭の要素はすべて『生涯学習を考える』の科目に限った内容であって、科目によっては回数が違ったり試験の方法が違ったりといろいろあるようです。

内容は自治体で行われている生涯学習・社会教育にまつわる行政の仕組み・法律など。間違っても「生涯学習のはじめかた」みたいな基礎系チュートリアル科目ではない。

この授業の特徴のひとつに「交流フォーラム」なるものがある。科目登録者のみがネットワーク上で交流できる掲示板。学習の悩みだったり授業の感想だったり、自由に書き込むことができる。
まさに私が放大において待ち望んでいたシステムであり、非常に良い機能だと思います。が、結果的にほとんど利用はしませんでした……笑
本名が出てしまうのがなんとなく気後れさせるのと、スレッド形式なので自由な書き込みというよりは「発言」になってしまって少しハードルが高い。なにより、活用している人が少ないので参入しずらい。浸透するまでもう少し時間が必要かかりそうですね。先生の書き込みとかあったら盛り上がるんじゃないかなあ。

ちなみにレポートの採点結果はすでに出ていて、すべて8割止まり……。俺はいつになったら8割の壁を越えられるんだ……。

感想『認知行動療法』

彼 女 に

な に が

起 き た の か。

キロキロキロキロ……(エレキの音)

初っ端から「ライフ」みたいな荒れた学園風景のVTRが流れる。
テレビ授業なのでこんな感じに授業冒頭から映像ぶち込んでくることが多い。取りかかりやすくていいのだが「とりあえずV流しときゃ理解した気になるだろう」みたいな安直な感じもして、う〜ん、どうなんでしょう。
本筋の座学のほうがひじょ〜に抽象的で分かりにくく、それを補完するためだとは思うのだが、いかんせん授業と映像の関連性が見えにくいことも多く、そもそもあのVTRがなんのためにあったのかもはや忘却……(特にあの暴れてた女の子ってなんの話だっけ……?)

というか、これは俺の勉強法の問題だったかも。
私の勉強法は基本、
①テキストで予習
②テキストと放送授業で講習
③テスト前にテキストで復習
という流れなのだけど、途中から①と②を逆転させてました。でもそうするとなんか勉強が雑になるんだよな……

おもしろいことはおもしろい。
体験の回避はかえって恐怖を保存する、とか。
痛みに耐えるのではなく観察してみる、とか。
でも、
・講師が5人いて、章ごとにランダムに登場すること
・講師ごとにテキストがQ&A形式だったり村上春樹が引用されたりと、癖があること
・放送授業も「では、次のこちら」みたいに図が出てくるんだけど、それがなんなのかいまいち腑に落ちないこと
 などから結局、で、認知行動療法ってなんなの? というわだかまりが残る。
 アシスタントの河田アナも一生懸命「つまり○○ということなのですね」と明確化につとめてくれているのだが、いかんせん一向にわかってる感じがしないのもまた哀しい(俺の理解力の問題かなあ)

あとまあ、愚痴を言うと止まらないのだが……
いくらか、フロイトユング系の心理療法を目の敵にしてる感があるのも気にかかるところ。
とくに武藤先生、下山先生は当たりがやたら強い。認知行動療法にとって、従来のサイコセラピーとは違う! というアイデンティティが大切なのは分かるんだけど……
もちろんこれからの時代、認知行動療法にさらにスポットが当たっていくんだなというのはよく分かった。

試験は択一式・持込不可。

平均点の高さが物語る通り、そんなに難しくない。
基本テキストからしか出ないし、放送授業ですっ飛ばしたところもそんなに触れられない。暗記ではなく、よく読み返しておくのが大事。
ただし過去問を見るに、ときどき学者名を突かれることがあるようなので第1章は要復習か。あと「機能分析」とか「系統的脱感作法」とか各用語の意味とか。マイクロカウンセリングやACPの要素とか……あれ、意外とポイント多いな……

以下雑記。
麻里奈さんは女優業の悩みを打ち明けまくっていて、よく思い切ったなあという印象。
・第2章で登場した学習塾の悪徳商法感。
・林先生と石丸先生は見分けがつかない。
・テキスト末の神村先生の写真が盛られすぎていて、「この先生いつ登場するんだろ?」って素で思ってた。一人だけ陰影つけすぎww

感想『西洋音楽史』

放大生のオアシス。

平均点90代は伊達じゃない。
マジ救われました。この科目がなかったら今期は本当やばいことになってた。

中世〜近現代までの西洋音楽の歴史を概観。
ド直球な音楽史です。
授業では頻繁に音楽を流してくれるからイメージ湧きやすいし、なにより相対的に授業が短くなるのがいいよね!
そのうえ内容はかなりおもしろいというね、もうね、岡田先生様様です。

バッハはバロック時代にあって典型的なバロック作曲家じゃないとか、ベートーヴェンの音楽の新しさとはなにかとか、当時の作曲家たちが何処にオリジナリティを求めて苦心していたのかとか、もう超おもしろいの。

美術評論に長けているからだろうか、岡田先生の文章はなんともいえず心地よい。巧み。手際がよい。歯切れがよい。(と、こんな感じで形容を連発しまくるところはややいただけないが、それでも)読みやすくおもしろい、お手本にしたい先生である。アポリア、とか哲学用語も平気で使ってくるあたり、とかく人文ジャンルに造形が深いことが伺える。

ただ冷静に考えて、音楽は全くの素人という人にとって、この授業の難易度はどうなのだろう。
私は楽器をかじっていたことがあるけれど、それでも対位法と和声法の区別はやや手間取ったし、正直協奏曲とかソナタ形式を説明しろと言われても未だに不安。まして、カデンツ、なんて普通の人が分かるのだろうか……?
楽譜が読める必要はないけれど、せめて「バッハ」と言われて「フーガの人でしょ」とつながるくらいの中学音楽の知識は欲しいのではないか。なんて、平均点90越えなのだし余計なお世話かな?

試験は択一式、持込可。
対策? そんなものはない!
放送授業をリピートしているだけで十分だ!

以下雑記。
・通勤中に聞き流しすることが多かったので、朝からクラシック聴くと優雅な気分になる。
・でも仕事前にグレゴリア聖歌はキツい。
マタイ受難曲も病む。
・前衛音楽なんてもってのほか。
・先生曰く、「乙女の祈り」は「品がない」とバッサリ。普通に良い曲だと思ってた……新幹線でいつも聴くし。サロン音楽が好きなんてクラシック通にとっては噴飯物なのかな。

感想『心理臨床とイメージ』

小野けいこです(フェアリーボイス)

一年前、ラジオ授業でお世話になった小野先生とテレビ授業で初対面。
思ってたよりふと……ふくよかでいらっしゃいました。

バウムテストをはじめたとした描画系の臨床技法について学びます。でも後半からはロールプレイや詩歌療法の話も出てくるので、やはり主題は「イメージ」、ですね。
終盤のアクティヴ・イマジネーションあたりから内容がどんどんサイコになっていくので、この授業大丈夫だろうか……と不安になる。授業中に詩とかが引用されるときのダンジョンみたいなBGMがより不安をかき立てる。

とはいえ、基礎概念を学ぶだけなので「明日から使える!バウムテスト!」みたいな内容ではないので注意すること。というか、そのように安易に技法を用いることは危険であると授業中しばしば念を押されます。
アクティヴ・イマジネーションだけは自宅でできます風に講義されるけど(無論、専門家の見守りが不可欠であると補足のうえで)、……これできる人いんの? 無理じゃね?

たびたびゲストとして登場する山中先生がおもしろい。
放送授業中のインタビューってテキストと関係ないこと多いから聞き流してしまいがちなんだけど、この先生の話はふつうに聞いていられる。元教え子なのか小野先生もほどよく緊張されているけれど、でもしっかり一人前と認められているんだなあというプロ同士の安定感が伝わってきて、見ていて豊かな気持ちになります。

以下、テストについて。

択一式・持込不可。
全体として教科書読み込んでおけば解ける問題。
ほかの臨床心理科目を学んできた人には既知の内容も多々あるかと思います。
ただし9章の詩歌療法だけは、放送授業でしか触れてない内容からの出題傾向が強いので注意すること。ってか芭蕉の句からの出題はいじわるでしょww

余裕があれば技法と考案者(あるいは日本に導入した人)の名前は一致するようにしておいたほうが無難かも。時々選択肢の中で悩まされます。特に「スクリブル」と「スクイッグル」、「マガジン・ピクチャー・コラージュ法」と「マガジン・フォト・コラージュ法」は……

個人的に、いままで受けた持込不可の試験でいちばん対策を怠った科目。案の定、詩歌療法の問に最後まで悩まされました。というか佐藤先生の回を雑に受けすぎました、すみません……

感想『心理カウンセリング序説』

   『心理臨床の基礎』を履修したうえでの受講を推奨されている発展型心理科目。

    ここまで来るのに、

    心理と教育の巨人たち
            ↓
    教育と心理を学ぶために
            ↓
    心理学概論
            ↓
    心理臨床の基礎

    と、かなりの道のりを経てきたので、ドラクエでいえば賢者とパラディンあたりを修了したイメージ。

 

    などと意味のわからない例えはおいといて、

 

    知識を詰め込むというより、ひたすら理念を刷り込まれる感じの授業。
    そんなに難しい内容ではない。
    『カウンセリングは受容と共感がだいじ』
    これさえ肝に命じておけばだいたい理解できる。

     ……とか思ってたら「解釈も大事だよ」って問題を落としてしまったのだけど……

    事例紹介もあるので飽きない。
    テキストと放送の内容がかなり違うので、僕は読むときは読むだけ、聞くときは聞くだけ、と完全にわけて勉強してました。

    講師対談形式の授業では、両者が発信型より受信型の人だから、やりとりが恐ろしく慎重で、聞き上手な人同士が会話するとこうなるんだなあ、というのが面白い。

 

    以下、試験対策。

    この科目の最大の特徴は、

    放送授業だけで扱った内容からも平気で出題される

    こと。
    放送大学って、なんだかんだ試験はテキストからしか出ないことが多いんだけど、大場先生はそのへん完全にリミッター外してきます。特に夢の解釈は頻出。

    1つ1つの問題が難しいわけじゃないんだけど、教材は持込不可なので、全体を網羅しておくのがなかなか難儀である。
    ただ、過去問から出るところもある。

感想『経験論から言語哲学へ』

    ウィトゲンシュタインがやりたくて取った科目。 
 経験論っていうと唯物論、イギリス的、功利的ってイメージが強かったけど実はいろいろ複雑なんだぜっていうのが学べる科目。

 けっこうムズいです。そこはやっぱり専門科目。
 マイナー哲学者の出番も多いし、なんかみんな言ってること一緒な感じで混乱する……
 テキストもやや厚めで、一章読むのに二時間くらいかかるなんてこともありました。特に前半が重い。
 まあ『ドイツ哲学の系譜』に比べれば(略)

 ウィトゲンシュタインは、現代ではややオシャレ哲学と化してる先入観が勝手にあったんだけど(彼のアフォリズムが一人歩きしてるからかなあ)、やってみると、あ、こんなもんなんだ、みたいな印象。意外とさっぱり味。論考だけで彼を分かった気になるのは怖いですね。

    ウィトゲンシュタインとは関係ないけど、相対主義を意識しすぎることが相対性の絶対性を招く認識論的ニヒリズムとか、全体主義を掲げることがかえって「全体性の外と内」の意味合いを内包してしまうとか、哲学科目ならではのやりとりも面白い。錯覚論法への批判も容赦なくて笑う。

    論理実証主義(哲学に科学的な実証性をもとめる)の考え方には賛同できる点が多いのだけど、哲学史のなかだと雑魚キャラ扱いなのが残念だなあ。最終的にウィトゲンシュタインからも見離されてるし。歴史というものは1人のスターを求めてしまいがちですね。

 

 試験は持込み可。
 対策は他の哲学科目と同じでテキストの読み込みに尽きると思う。ドイツ哲学と違って、読むことすらできないってことはない……
 けど丁寧に、一つずつ、ゆっくり噛み砕いていかないと表層的な理解に終わってしまいそうな科目です。僕は見事に、点取りのための勉強に留まってしまいました。
 穴埋めが多いので、正直、教科書めくってれば解けてしまう問も多い。

感想『世界文学への招待』

 放大の西洋文学科目を支える宮下先生、

 小説家の小野正嗣氏、
 この二人がタッグで主任講師という夢膨らむ科目。

 でも割と、ふつーの文学科目だったかなという印象。
 そりゃまあ大学ですしね。

 『世界文学』とはいえ、ドストエフスキートルストイフローベールといったお約束の人たちはお休み。
 それよりも20世紀以降に活躍してきた現代寄りの作家が取り上げられる。その意味では、よくある文学史を越えた良い授業といえるでしょう。

 アラブ文学とかアフリカ文学とか、そうそう講義してもらえるものじゃないよなあ、というのはひしひし伝わってきます。外国人の日本文学研究者に源氏物語を語られるというのもかなり新しい体験。ドナルド・キーンの話を聞いてるみたいでなんかうれしいよね。

 難点は、世間的には知名度低めな作家と作品が次々に出て来ては流れていくから、あんまり印象に残らないことかなあ。読んでみたいなーと思う作品もいくつかあったけど、どれも長そうだし重そうだし、いやな考え方だけど、いわるゆ世界古典文学にある『ブランド性』も薄くて手が出しにくい。これだけ多くの作品が取り上げられて、実際に読めたのがカナファーニー『悲しいオレンジの実る土地』だけだというのがまた悲しい……

 特にキツいのは韓国・朝鮮文学のところ。完全に学校の教科書と化していて、読むだけでも精一杯だった。放送授業ではハングルと日本語の入り交じってるところを聞かせてくれて面白いんだけど……。

 新しい文学の勉強がしたい人には向いてる。
 知識としての文学教養がほしい、って人にはいまいちかなあ。

 テストは択一式で、持ち込みは……

 もともと可能だと思ってたら、試験一週間前に過去問やろうとしたところ「不可」になってることに気づく。しかも問題は結構難しい……というかイヤらしい(聞いてくるところが細かい)つくりで6〜7割しか取れない……

 って泣いてたら今年度から持込み可に変わってました。(苦情多かったんだろうな)
 持込み可になったことで設問の難易度いっきに跳ね上がるかなあとも思ったけど、そこまで難化という感じはせず。
 平成28年度開設科目だから、やっぱり開設直後に履修するってリスキーだね……

 正答を判別できるポイントが本当に細かいので、暗記嫌いな僕はけっきょく教科書漁りまくる試験でした。もっとまじめにやれば面白い科目だったんだろうけどなあ。
 文学のエコロジーよりは難しいと思います。