感想『経験論から言語哲学へ』

    ウィトゲンシュタインがやりたくて取った科目。 
 経験論っていうと唯物論、イギリス的、功利的ってイメージが強かったけど実はいろいろ複雑なんだぜっていうのが学べる科目。

 けっこうムズいです。そこはやっぱり専門科目。
 マイナー哲学者の出番も多いし、なんかみんな言ってること一緒な感じで混乱する……
 テキストもやや厚めで、一章読むのに二時間くらいかかるなんてこともありました。特に前半が重い。
 まあ『ドイツ哲学の系譜』に比べれば(略)

 ウィトゲンシュタインは、現代ではややオシャレ哲学と化してる先入観が勝手にあったんだけど(彼のアフォリズムが一人歩きしてるからかなあ)、やってみると、あ、こんなもんなんだ、みたいな印象。意外とさっぱり味。論考だけで彼を分かった気になるのは怖いですね。

    ウィトゲンシュタインとは関係ないけど、相対主義を意識しすぎることが相対性の絶対性を招く認識論的ニヒリズムとか、全体主義を掲げることがかえって「全体性の外と内」の意味合いを内包してしまうとか、哲学科目ならではのやりとりも面白い。錯覚論法への批判も容赦なくて笑う。

    論理実証主義(哲学に科学的な実証性をもとめる)の考え方には賛同できる点が多いのだけど、哲学史のなかだと雑魚キャラ扱いなのが残念だなあ。最終的にウィトゲンシュタインからも見離されてるし。歴史というものは1人のスターを求めてしまいがちですね。

 

 試験は持込み可。
 対策は他の哲学科目と同じでテキストの読み込みに尽きると思う。ドイツ哲学と違って、読むことすらできないってことはない……
 けど丁寧に、一つずつ、ゆっくり噛み砕いていかないと表層的な理解に終わってしまいそうな科目です。僕は見事に、点取りのための勉強に留まってしまいました。
 穴埋めが多いので、正直、教科書めくってれば解けてしまう問も多い。