感想『世界文学への招待』

 放大の西洋文学科目を支える宮下先生、

 小説家の小野正嗣氏、
 この二人がタッグで主任講師という夢膨らむ科目。

 でも割と、ふつーの文学科目だったかなという印象。
 そりゃまあ大学ですしね。

 『世界文学』とはいえ、ドストエフスキートルストイフローベールといったお約束の人たちはお休み。
 それよりも20世紀以降に活躍してきた現代寄りの作家が取り上げられる。その意味では、よくある文学史を越えた良い授業といえるでしょう。

 アラブ文学とかアフリカ文学とか、そうそう講義してもらえるものじゃないよなあ、というのはひしひし伝わってきます。外国人の日本文学研究者に源氏物語を語られるというのもかなり新しい体験。ドナルド・キーンの話を聞いてるみたいでなんかうれしいよね。

 難点は、世間的には知名度低めな作家と作品が次々に出て来ては流れていくから、あんまり印象に残らないことかなあ。読んでみたいなーと思う作品もいくつかあったけど、どれも長そうだし重そうだし、いやな考え方だけど、いわるゆ世界古典文学にある『ブランド性』も薄くて手が出しにくい。これだけ多くの作品が取り上げられて、実際に読めたのがカナファーニー『悲しいオレンジの実る土地』だけだというのがまた悲しい……

 特にキツいのは韓国・朝鮮文学のところ。完全に学校の教科書と化していて、読むだけでも精一杯だった。放送授業ではハングルと日本語の入り交じってるところを聞かせてくれて面白いんだけど……。

 新しい文学の勉強がしたい人には向いてる。
 知識としての文学教養がほしい、って人にはいまいちかなあ。

 テストは択一式で、持ち込みは……

 もともと可能だと思ってたら、試験一週間前に過去問やろうとしたところ「不可」になってることに気づく。しかも問題は結構難しい……というかイヤらしい(聞いてくるところが細かい)つくりで6〜7割しか取れない……

 って泣いてたら今年度から持込み可に変わってました。(苦情多かったんだろうな)
 持込み可になったことで設問の難易度いっきに跳ね上がるかなあとも思ったけど、そこまで難化という感じはせず。
 平成28年度開設科目だから、やっぱり開設直後に履修するってリスキーだね……

 正答を判別できるポイントが本当に細かいので、暗記嫌いな僕はけっきょく教科書漁りまくる試験でした。もっとまじめにやれば面白い科目だったんだろうけどなあ。
 文学のエコロジーよりは難しいと思います。