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文学のエコロジー 第5章

著作権前史

 

    活版印刷が始まると商売気も強くなるし、著作物と著作者がつよく結びつくようになる(口承文芸が写本のような代々語り継がれていくような形態でなくなる)。となると、問題になるのは著作権。むかしは著作権なんてものはないから海賊版や贋作も当然のようにあった。

 

 当時、15世紀ヨーロッパあたりで著作権の代わりになっていたのが「特認」。時の権力者に"海賊版出すの禁止してくれー"って頼むもの。全書物に適用されるわけではなく、個別に「特認」をもらう必要があり、保護される年数も物によって異なっていたようだ。
 また、権利の大元が著作者にではなく、出版側に帰せられていたのも特徴。当時、特に貴族社会での作者が求めるものといえば「名声」なので、権利意識には無頓着な人も多かった。

 

 そんな中で18世紀には手紙の内容を刊行されたことで著作権を争う裁判が起きる。結果的に訴訟側の訴えが認められる形になり(手紙は紙の所有権はわたるが内容の刊行を認めることにはならないという理屈)、テクストが物質から飛び立ったともいえる。

    この点、日本では20世紀になっても争われてるあたり(剣と寒紅事件)、ヨーロッパに比べればかなり遅れている。