心理臨床の基礎 第4章

精神医学

 たのしいライフサイクル論の時間は終わり、今回は精神医学とかいきなりヤバそうな分野に足を踏み入れる。教科書読むと「生きていることの意味と物語」「新しい精神の科学」とか書いてあるし、なにこれ。新興宗教?

 教科書は冒頭からゲノムとかニューロン群協調発火パタンとかわけわかんない言葉が続くので泣きそうでしたが、放送授業だとその辺はカット。


 まずは精神症状の病因理念三種について。

(1)器質因(外因)・・・脳組織の変性・身体疾患などが起始原因である物質素材での異常(ex.意識障害認知症

(2)心因・・・環境状況や文化に不適切な部分があり、神経回路網結合パタンに偏倚が生じる異常。不適切な学習(ex.パニック障害、PTSD、適応障害

(3)内因・・・遺伝が関係してて原因の実体が不明(ex.統合失調症とか)

 これら患者の内的体験を傾聴し、その症状と内的体験・意識連関に共感性があれば「了解可能」といい、逆なら「了解不能」という。

 

 実態として、個々の疾患・疾病をこの三種のどれかに帰することは困難であるが、しかし同時に器質因・心因・内因という病因概念が無用なわけではない。患者を「診立て」るうえでは欠かせないものである。
 「診立て」とは診断とは違い、傾聴の中から了解不能な部分を弁別し、器質因・内因で説明して治療の仮説をたてること。

 まあ精神医学なので治療には薬を使って神経回路網の結合パタンとやらを変えるわけだけど、本来の目的が結合パタンの変容にあるのではない。目指すのは患者さんの悩みの解決や、かくありたい生き方の実現なので、その支援で心理療法は様々な場面で活躍するよ、みたいなお話。

 

 ここまではまあいい。後半が神がかっていてちょっと難しい。

 要約すれば、心身問題についてはいろいろあるけど、新しい精神の科学では「一元二面論的理解」というのを使って主観的現象も脳内物理現象も同一現象の二足面としてとらえるよ! みたいな話。ほんとにそれでいいの?
 人間の根源的願望を進化の原理と結びつけて、われわれは生命の叙事詩の中で生まれ生きていく存在であることを実感する! みたいな。ちょっとまとめ書いてて怖くなってきた。おかしいな、こんな授業ではなかったはずなのだが。

 

 

 人間の基本的願望(食べたい、Hしたい等)は狩猟時代からの生態適応にあわせて完成したものなのだがら、ここ数百年の社会激変に適応できるはずもないじゃん。だからそれが「社会因」となって心の病気が生み出されてるんだよ、という考え方はすっきり分かりやすくておもしろい。