文学のエコロジー 第1章

1 導入

 かつての口承文学の時代において著作権などというものはなく、現代に伝わる古代の作品は様々な写本を学者が校訂したものであり、決してオリジナルのテキストを読んでいるわけではない(このへんはこれまでの文学科目でも常々味わったから問題なく納得)

 

2 ロマンス語
 現代のフランス語・スペイン語・イタリア語・ポルトガル語などは崩れたラテン語から派生した語(ロマンス語)といわれる。こういった言語共同体の創世記には、その民族の歴史を歌ったフィクションが作られやすいという。(ex.『イリアス』『ユーカラ』『わがシッドの歌』『ニーベルンゲンの歌』)
 なぜか? その背後に民族的エネルギーの胎動があったから?

 

3 口承性
 フランスの口承文学「武勲詩」はジョングルールと呼ばれる旅芸人によって言い伝えられた。(琵琶法師みたいなもの)
 そこでは文字ではなく声によるパフォーマンスにこそが文学の真骨頂であった。なお、曲芸・手品の動詞であるjuggleとも関係が深い。

 

4 ロランの歌
 そのフランス武勲詩の傑作ロランの歌
 作品の成立は長い伝承を経て作られたのか、天才詩人によって一気につくられたのか、はっきりは分かっていない。イリアス平家物語と同じで、口承文学にこういった問題はつきものである。
 物語の山場では、同一のアクションが表現をかえて繰り返し現れる。こういった強調によってドラマチックな効果が生まれるといい、これも語り物の特徴であるという。
(良い例が浮かばないけど、大きなカブとか、シンデレラが靴を履くシーンとか、確かに伝承物はこういった演出が多い。そしてそれがうまく機能している)

 

 

 ずっと狙っていた科目。ようやく受講できたぜ。
 テキストは少々厚いが内容はすんなり入ってくるし、今期の癒し科目になること間違いなし!